コラム


クレープができて800年以上。伝統と歴史の詰まった食べ物です。

「クレープ」とは「ちぢれた」と言う意味。
薄く伸ばして焼いたとき、表面にちぢれ模様がつくのが本来のクレープの姿です。
「ガレット」とは「平たく焼いたもの」と言う意味。
ガレットはそば粉を使ったクレープです。

起源は12世紀

パリのモンパルナス駅から列車で北西に600km、海沿いの地方 「ブルターニュ」でガレット、クレープは生まれました。
この地方は痩せた大地のため、小麦が育たずパンが作れませんでしたが、12世紀に十字軍の兵士たちがアジアから持ち帰った”そば”を育てたところ大変よく育ち、このそば粉を使って試行錯誤の上、出来上がったのが、ガレットです。
このガレットにハム、チーズ、ソーセージなどを四角く包み、特産品のシードルと一緒に食べる。
食べ方はあっという間にブルターニュ全土に広まり、ブルターニュ人の主食となりました。

2月2日は聖燭祭の日(Chandeleur:シャンデレール)

聖燭祭とはキリスト教の祝日のひとつで、キリストが生まれたクリスマスからちょうど40日の2月2日に神殿に奉献されたことを記念して設けられたお祭りの日です。
当時、庶民の間では小麦粉がたいへん貴重なものであったため、普段は高価で食べることができませんでした。
なので、小麦粉使用するクレープはキリスト教のお祭りの際の贅沢なお菓子として特別に食べられていました。
小麦粉を手軽に手に入れることができる現代では、クレープは日常的に食べられていますが、
この2月2日聖燭祭(シャンデレール)の日の、庶民のささやかな贅沢の伝統は、
「クレープによる運だめし」の行事として、フランス各地に受け継がれています。

19世紀にフランス全土に

クレープとガレットがフランス全土に広まったのは、ブルターニュがフランスに併合され(1532年)、 19世紀に鉄道が通じるようになってから。
特に、ブルターニュ地方への鉄道の始発駅であるモンパルナス駅周辺は、10数店のクレープリーがあり(通称クレープ通り)いつもブルターニュ出身者や観光客でにぎわっています。

クレープ占い

2月2日、クレープの日には、フランスではクレープ占いの伝統が受け継がれています。
片手にクレープ専用のフライパン(クレープパン)を持ち生地を広げ、もう片方の手には金貨を握ります。
クレープを宙に投げ、クレープパンに戻すことができたらその年は幸運に恵まれると言われています。
1812年の2月2日にかのナポレオンも挑戦したそうです。